岡山受験ラボ|高校&中学受験の情報発信ブログ

岡山の中学&高校受験情報をお伝えします。

岡山県における中学受験と高校受験:どちらを選ぶべきか?

岡山県内の小学生のお子様をもつ保護者に向けて、中学受験(小学校卒業時に中高一貫校へ進むルート)と高校受験(公立中学から高校進学する従来ルート)それぞれの特徴を比較し、進路選択の判断材料を提供します。

岡山県では近年、公立中高一貫校の新設や難関私立校の台頭により中学受験への関心が高まっています。本記事では特に以下の学校・進学ルートを例に取り上げ、中立的な立場でメリット・デメリットを整理します。

まずは各ルートの大学進学実績や学費、学習環境などを比較し、その後に「どんな家庭・子どもに向いているか」について考えます。最後に保護者や教育関係者の声、近年の傾向も紹介します。

主な学校の進学実績比較

中学受験を経て進学する学校と、公立高校ルートでは大学合格実績にどのような違いがあるでしょうか。以下に代表的な学校の大学合格実績をまとめました。

学校・ルート 大学進学実績の特徴(近年)
岡山白陵中学・高校(私立) 東大合格者数5名(2025年)・京大1名など。過去5年合計で東大30名・京大9名と全国トップクラス。医学部合格者も多数。
就実中学・高校(私立) 東大・京大など旧帝大合格3名(2024年)と最難関は少なめ。一方、国公立大合格延べ81名、早慶上理ICU合計20名など幅広い大学に合格。系列の就実大学への内部進学者も多い。
岡山大安寺中等教育学校(公立一貫) 2024年に東大13名・京大4名合格(いずれも過去最高)。東大合格者数で岡山朝日を上回り県内トップとなりました(13名中全員現役合格)。国公立医学科への現役合格者も13名と突出。
岡山大学附属中学校(国立) 高校進学時に岡山朝日高校へ進む割合が非常に高い(定員180名の約7割が朝日高を受験し合格)。附属中から朝日高への合格者数は毎年県内最多で、朝日高生の約30%を占めています。
岡山朝日高校(公立トップ校) 東大合格者数は2022年に24名の戦後最多を記録。近年は2024年東大11名・京大3名とやや減少傾向も、依然として県内トップクラス。難関10国立大合格者数では2025年に108名で県内1位。国公立大合格者延べ155名(2024年)など裾野も広い実績です。

sunrise-okayama.com

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上記から分かるように、私立最難関の岡山白陵公立一貫の岡山大安寺は東大・京大といった難関大学への合格者を多数輩出しています。一方、就実は最上位校への合格は少なめでも、岡山大学など地元国公立や有名私大への合格者を多く出し、内部推薦で進学できる系列大学もあります。岡山朝日高校は公立高校からの進学先として長年トップを走り、東大合格者数累計では他校を大きく引き離しています(戦後累計800名超)。また岡山大学附属中を経由するルートでは、朝日高校→難関大学という伝統的な進学パターンが根強く、附属中から朝日に進む生徒の多くが現役で難関大学に合格する傾向があります。

✓ポイント:大学進学実績だけを見ると、「岡山白陵などの私立一貫校」や「岡山大安寺中等など公立一貫校」⇒難関大という図式が目立ちます。ただし、公立トップの岡山朝日高校からも多数の難関大合格者が出ており、中学受験しなくても十分難関大を目指せることが分かります。進学実績の高さは「学校側の指導力」だけでなく「集まる生徒層」の影響も大きい点には留意が必要です。実績データは一つの目安とし、お子さんの適性や希望進路とのマッチを考えることが大切です。

学費・経済的負担の違い

経済面も進路選択の重要なポイントです。私立中高一貫校と公立校では、在学中にかかる費用に大きな差があります。

  • 私立中高一貫校の学費:入学金や授業料、施設費などを合わせると、年間で約60万~80万円の学費が必要です。例えば岡山白陵中学・高校では月額58,400円(年間約70万円)の学費負担となります。就実中学校も初年度納付金約61万円、授業料は年額43.2万円程度で、私立としては平均的な水準です。この他、制服代や教材費、模試代、クラブ活動費などもかかります。6年間私立に通う場合、トータルの学費負担は数百万円規模になることを念頭に置く必要があります。

  • 公立中高一貫校・公立高校の学費:原則として授業料は無料(高校は就学支援金制度により実質無償※)です。岡山大安寺中等教育学校岡山朝日高校では授業料はかかりません。ただし教科書代・教材費、修学旅行積立金、制服・部活動費など一定の実費負担はあります。岡山大学附属中学校も国立ですが、授業料は公立校並みに安価で、月額数千円程度の納付金に留まります。国立附属は私立と違い寄付金も任意であり、経済的負担は公立校とほぼ同等と考えてよいでしょう。

※高校授業料無償化:年収目安910万円未満の世帯が対象(超える場合月数万円の授業料負担あり)。

  • 塾・受験費用:中学受験をする場合、小学校高学年で塾に通う費用や受験料も発生します。大手進学塾の受講料は年間数十万円になることもあり、中学受験を選ぶ家庭ではその点も考慮する必要があります。一方、公立中学から高校受験する場合でも、中3時に塾で高校入試対策をするケースが多く見られます。特に難関校を目指す場合、塾代は中学・高校どちらのルートでも一定の出費となる可能性があります。例えば岡山大学附属中の生徒は「国立で学費が安い分、塾に通わせる家庭が多い」との声もあります。

✓ポイント:経済的に見ると、公立ルート(含む国立附属)は圧倒的に学費負担が軽いです。6年間私立に通う学費で、大学4年間の学費に匹敵するとも言われます。ただし私立には奨学金・特待生制度がある学校もあります。経済負担とお子さんの教育環境のバランスを各家庭で検討しましょう。

学力・学習環境と校風の違い

学校の雰囲気や教育環境もルート選択に直結します。それぞれの学校で求められる学力水準や校風の特徴を見てみましょう。

  • 岡山白陵中学・高等学校(私立): 「アカデミックな校風」を掲げ、全国から向学心に燃える生徒が集う進学校です。6か年一貫教育で高度な英才教育を徹底しており、授業進度も速く課題も多い環境です。表面的な礼儀や規律は厳しく指導され自主性は育ちにくいとの在校生の声もある一方、「勉強に集中するには最高の環境」「部活もやりたい人はできる」という口コミもあります。寮設備も近代的で、遠方からの入学者が男子寮・女子寮で生活しています。総じて学習第一で落ち着いた校風であり、「とにかく難関大を目指す」という生徒にはフィットしやすい環境です。

  • 就実中学校・高等学校(私立): コース制による多様な学習環境が特徴です。中学では「特別進学コース(共学)」と「進学コース(女子のみ)」が設置され、特別進学コース内に難関大学志望のハイグレードクラスと国公立大志望のアドバンスクラスがあります。高校も含め2009年以降段階的に共学化が進み、現在は最上位コースが男女混合で切磋琢磨する一方、従来型の女子クラスも残っています。学校生活は比較的自由度が高く、クラブ活動や行事にも力を入れているため、「勉強一本になりすぎず高校生活を楽しみたい」という生徒にも向いています。実際、就実高校の偏差値帯は46~68と幅広く、トップ層から中堅層まで受け入れる懐の深さがあります。

  • 岡山大安寺中等教育学校(公立中高一貫校: 2010年開校の比較的新しい公立一貫校です。1学年160名と規模は大きくありませんが、集まる生徒の学力レベルは県内トップクラスです。もともと伝統校「岡山大安寺高校」を6年一貫校に移行した背景もあり、「自主自律」や「探究学習」を重んじる校風です。令和2年度から文部科学省SSHスーパーサイエンスハイスクール)指定校となっており、科学研究や探究型の課題にも力を入れています。中学入学時には適性検査型の入試が行われ、2025年度は競争倍率2.47倍(志願者404名)という狭き門です。6年間同じ仲間と一貫カリキュラムで学ぶことで、高2・高3で難関大学受験へ一気に伸びる成果が出ています。公立校らしく質実剛健な校風で、部活動も公立高校と同様に盛んに行われています。

  • 岡山大学附属中学校(国立): 岡山市中心部にある伝統校で、「自主自律 豊かな心でたくましく」を教育目標に掲げています。小学校から附属で上がる内部生と、中学入試(教科試験による競争率約3倍)で入学する外部生が混在します。特徴は高校が附属に無いため、3年後の進路は受験で外部高校へ出ることです。優秀層の多くは岡山朝日高校など難関公立高を目指し、附属中全体では毎年100名以上が朝日高校に合格します。日常の授業は公立中学校に準じていますが、生徒の多くが放課後に進学塾へ通うなど高い進学意識を持っています。一方で、文化祭や体育会など学校行事も充実しており、中学3年間で生徒会活動や部活に打ち込む生徒も多く見られます。「中だるみしにくい国立附属」との評価もあり、優秀な仲間と競い合いながらも公立的な落ち着いた環境で過ごしたい子に適しています。

  • 岡山朝日高等学校(公立): 県下一の進学校として知られ、「自主・自律の精神」「文武両道」を重んじる校風です。生徒数は1学年320名規模と多く、多彩な生徒が集まります。難関大を目指す特別補習や課外講座も用意されていますが、基本的には自ら計画を立て学習する自主性が求められます。部活動加入率も高く、進学実績と両立して全国大会級の部活成績を収める例もあります。伝統校らしく生徒の自治活動が盛んで、生徒会を中心に学校行事も活発です。「地方公立とは思えないハイレベルな生徒が揃う」との評判がある一方、浪人生を含めた合格実績に依存する部分も指摘されています。在校中に成績が振るわなくても高校卒業後に学校主宰の補習科(浪人クラス)で面倒を見る体制も伝統としてあります。総じて、自主性と努力次第でいくらでも伸びる環境と言えるでしょう。

✓ポイント:私立中高一貫校は総じて「管理型で手厚い指導」が特徴で、早朝テストや課題、補習などで学習ペースを作ってくれます。一方、公立中学→公立高校ルートでは「自主性とバランス」が求められ、学校の授業+自習や塾で補完しながら自分で目標に向かう力が必要です。お子さんの性格について、「学校に引っ張ってもらった方が伸びるタイプか、自分のペースで主体的に取り組めるタイプか」を考えることが大切です。また部活や学校行事への参加度にも差があります。私立一貫校(特に難関校)は高3まで部活を続ける生徒は一部で、早めに引退し受験勉強に集中する傾向が強いです。それに対し、公立校では高3の夏まで部活を頑張る生徒も少なくなく、勉強との両立を経験するケースが多いです。

入試制度と内申点の違い

中学受験ルート高校受験ルートでは、入試の科目・評価方法も異なります。ここでは小6時点の中学入試と中3時点の高校入試の違い、そして評価に関わる「内申点」の問題を整理します。

  • 中学入試(小6で受験): 岡山県内の私立中学入試は基本的に学科試験型(国語・算数・理科・社会など)です。難易度は学校によって異なり、岡山白陵中のような難関校では小学校範囲を超えた発展内容まで出題され、高度な問題解決力が要求されます。一方、公立中高一貫校(岡山大安寺中等や岡山操山中など)の入試は「適性検査」と呼ばれるスタイルで、教科横断型の総合問題や作文が課されます。これは思考力・表現力をみる問題が中心で、塾でも専用の対策講座があるほど形式が特殊です。また国立の岡大附属中教科試験+面接という形式で、筆記のほかに小学校の通知表や活動実績を記載した調査書(内申書も評価対象になります。私立中にも近年、公立一貫校志望者を取り込むため適性検査型入試を導入する動きがあり、就実中は3教科型と適性検査型の両方で受験機会を設けています。

  • 高校入試(中3で受験): 岡山県立高校の入試は県一斉実施で、主要5教科の筆記試験と内申点で合否が決まります。岡山朝日高校のようなトップ校を受験する場合、中学3年間の内申点(評定合計)と学力試験の点数を一定比率で合算する選抜方式です。内申点は中1~中3の通知表「5段階評定」の合計が用いられ、公立トップ校だと満点(オール5)近くが求められることもあります。したがって、公立中に進む場合は日頃の定期テストや提出物、授業態度まで気を抜けません。また推薦入試(一部の特色校で実施)では内申書や面接が重視されます。これに対し、私立高校(就実高等部など)の入試は各校ごとに試験を実施し、国数英などの学科試験+面接が一般的です。中高一貫校の場合、内部進学が前提のため中3で高校受験をする必要はありません(岡山白陵中からそのまま白陵高校へ進級など)。公立中高一貫校も内部で高校課程に進むため高校受験は免除されます。この「受験回数の少なさ」は中高一貫校の大きな利点です。

  • 内申点をめぐる違い: 前述のとおり、高校受験では内申点が合否に大きく影響します。公立トップ校に進むには「内申オール5」を目指して中学3年間安定して高成績を収める必要があります。これは学力だけでなく生活面も含めた総合評価となるため、「テストはできるが提出物を出さない」「授業態度に難がある」といったタイプのお子さんは内申点で不利になる場合があります。一方で中学受験をして私立中に進んだ場合、高校入試が無いため内申点という概念からは解放されます。ただし私立中でも成績不振が続くと進級時に指導が入ったり、高校から外部受験を促されたりするケースはゼロではありません。また国立附属中→公立高ルートでは、中学の成績が内申書として高校入試に提出されますので、公立中と同様に日頃の評価が重視されます。さらに公立中高一貫校の適性検査では、小学校の調査書(内申)が参考資料として使われるため、受検を検討する段階から小学校での態度・活動実績も意識しておく必要があります。実際、適性検査対策のセミナーでは「授業態度・委員会活動など学校第一主義で頑張ること」が重要とアドバイスされています。

✓ポイント:中学受験は「一発勝負型」, 高校受験は「内申+当日点の総合評価」と言えます。小学校段階で試験本番の得点力を鍛えて勝負するのが中学受験、日々の積み重ねと入試本番のバランスで競うのが高校受験です。お子さんがテスト本番に強いタイプコツコツと継続できるタイプか、といった適性も考慮しましょう。また、中学受験組は小学生時代にハイレベルな勉強を経験する分、中学入学後に燃え尽きないよう注意が必要です(いわゆる中学受験エリートの中だるみ問題)。逆に高校受験組は中3にピークが来るため、それまでは部活など他の活動にも打ち込みつつ、高校入試に向けて徐々にギアを上げていくことになります。それぞれタイムスケジュールや負担のかかり方が異なる点を踏まえてください。

中学受験に向いている家庭・高校受験に向いている家庭

以上を踏まえ、「中学受験ルートが向いている家庭・子ども」「高校受験ルートが向いている家庭・子ども」の特徴を整理します。絶対的なものではありませんが、進路選択の判断材料として参考にしてください。

  • 中学受験(小学校卒業時に中高一貫校へ)を検討しやすいケース

    • 小学校段階で学力が高く、難問にも意欲的に挑戦する勉強好きなお子さんがいる。もっとレベルの高い環境で学ばせたい。

    • 教育熱心な家庭で、受験勉強のサポートや塾費用の負担を惜しまない。6年間の私立学費についても計画が立てられる。

    • 兄弟姉妹が多くなく、ある程度家庭のリソースを一点集中できる。親御さん自身も中学受験の意義を理解し、サポートする時間が取れる。

    • 地元公立中の環境に不安がある(学級崩壊の噂がある、人間関係など)。より規律ある私立・国立で学ばせたい。

    • 早い時期から志望校や将来像があり、先取り学習や専門教育に魅力を感じている(例:将来医学部に行かせたいので中高一貫進学校で鍛えたい)。

    • お子さんが負けず嫌い・向上心旺盛で、競争的な環境にもストレスなく飛び込める。多少の宿題や塾通いも苦にならない。

ただし、岡山県では小学校段階で非常に学力が高い子どもが、あえて中学受験を避けて高校受験ルートを選ぶケースもあります。例えば、岡山朝日高校を目指すために中高一貫の中学受験を回避し、岡山大学附属中学校に進学する家庭が一定数存在します。岡大附属中から朝日高校に進学し、そこから東大・京大・国立医学部に合格するという進路も確立されており、「中学受験に向いている条件」に当てはまるような優秀層でも、高校受験を前提とした進路を選ぶ場合がある点には注意が必要です。

  • 高校受験(公立中学→高校進学)を検討しやすいケース

    • 小学校時点では学力は平均的だが、中学3年間で伸びる余地を感じている。お子さんのペースで成長を見守りたい。

    • 経済的理由で私立中学の高額な学費・塾代を回避したい。高校まで公立に進み、浮いた分を大学進学や習い事に充てたい。

    • 家庭内で中学受験の準備をする余裕がない(共働きなどで付き添い困難)。小学校時代は受験のプレッシャーをかけず情緒面の成長を優先させたい。

    • お子さんが友達との遊び・スポーツなど子ども時代の経験を大切にしており、中学受験勉強に長時間縛られることに難色を示している。

    • 地元の公立中学校に良い評判があり、地域の仲間と3年間過ごさせたい意向がある。高校受験も地元で競わせたい(親自身が公立トップ校OBで愛着がある 等)。

    • お子さんが協調性が高く真面目で、内申点を着実に積み上げられるタイプ。学校の授業や課題をきちんとこなし評価されることに抵抗がない。

また、岡山大学附属中学校(あるいは地元の公立中学校)→岡山朝日高校→難関大という進学ルートは、岡山県では非常に一般的かつ実績のあるルートです。そのため、小学校段階で高い学力を持つ子どもが、必ずしも中高一貫校を目指すとは限らず、中学受験を通じて「高校で勝負する道」を選ぶという合理的判断が取られることもあります。

✓ポイント:迷う場合は「併願受験」という選択肢もあります。実際、首都圏の調査では中学受験予定の保護者の約2割が私立中と公立中高一貫校の両方を検討していました。岡山でも、大安寺中等など公立一貫校を第一志望にしつつ滑り止めで私立(就実や金光学園など)を受験するケースがあります。その逆に、私立白陵中を本命にしつつ公立一貫校も受ける例も見られます(試験日が重ならない範囲で両睨みする戦略)。受験のチャンスは一度きりではないので、最終的に公立中へ進む可能性を残しながら、中学受験勉強を経験させることも選択肢でしょう。

ただし併願受験はお子さんの負担も増えます。中学受験勉強の大変さについて、ある調査では受験させる予定だった保護者の44.3%が「やめさせようかと思ったことがある」と答えています。理由は「子どものやる気・疲れ・ストレス」「金銭面の負担」「親子関係の悪化」などでした。この数字は首都圏のデータですが、岡山でも当てはまる部分はあるでしょう。小学生に受験を課すことの重みも十分考慮し、無理のない計画を立てることが大切です。

保護者や教育関係者の声・最近の傾向

最後に、岡山県における中学受験 vs 高校受験の最新動向や、実際の保護者・学校関係者の声をご紹介します。

  • 中学受験者数の動向: 岡山県では2010年前後に公立中高一貫校(岡山大安寺中等、岡山操山中、倉敷天城中、津山中等)が相次いで開校し、中学受験者層が広がりました。直近では少子化の影響で県内全体の受験者数は減少傾向(2025年)ですが、一部の私立校では志願者数が増加しています。教育関係者によれば「首都圏・関西圏の進学校のような先進的教育を取り入れ、トップ公立校と差別化を図る私学」が人気を集めているとのこと。岡山でも例えば朝日塾中等教育学校(IBコース設置)や岡山学芸館清秀中(英才教育コース)など新興勢力が台頭しつつあります。選択肢が増えたことで、「私立一貫校→難関大」「公立一貫校→難関大」「公立高校→難関大」と複数の成功パターンが混在する状況です。

  • 保護者の価値観の多様化: 岡山の保護者の間でも「高校から勝負で十分」という従来型と「中学から先手を打つべき」という層に分かれてきています。ある教育情報サイトには「岡山県では県立中高一貫校に通うのがベスト。学費は安いし授業も満足できます」という投稿があり、公立一貫校のコスパ・指導内容を評価する声があります。一方で、「小学校の頃から岡山朝日高校を意識して岡大附属中受験に挑む」家庭も少なくなく、実際に附属中では幼児期から「朝日高校に行く!」と宣言する子もいるそうです。こうした早期の目標設定は一長一短ありますが、ゴール(高校・大学)から逆算して中学受験を選ぶ家庭が増えているのは確かでしょう。

  • 学校関係者のコメント: 岡山大安寺中等教育学校の快進撃について、教育委員会OBや塾講師からは「優秀な生徒が集まったことが躍進の理由」との分析があります。公立一貫校とはいえ選抜による学力レベルの高さが結果に直結した例と言えます。一方、岡山白陵高校が一時進学実績を落とした際には「生徒の自主性をもっと伸ばす取組が必要では」との指摘もあり、私立名門校も指導方法の模索が続いています。総じて、学校側も画一的な詰め込み教育から、探究型学習やICT活用など新しい学びにシフトしつつあり、保護者は各校の教育方針にも注目する必要があります。

  • 卒業生の体験: 岡山朝日高校の卒業生の多くは、高校生活を通じて自主性やリーダーシップを養い、大学でも活躍の場を広げているのが特徴です。ある卒業生は、「朝日高校では周囲のレベルが高く、常に刺激を受けて過ごす3年間だった。自由な校風の中で、自分の進むべき道を自分で考える力が身についた」と話しています。高校時代に鍛えた学習力・思考力・探究力を武器に、大学では研究や課外活動にも積極的に取り組み、難関大学でも活躍している姿が多く見られます。

    岡山朝日高校のような公立トップ校は、全国レベルの進学校と肩を並べる実力を持ちながらも、地元密着で生徒の多様性を大切にしている点が強みです。都市圏の私立一貫校とは異なる価値があり、地方からでも一流大学に挑戦できる環境が整っているといえるでしょう。

冷静な選択のためのアドバイス

中学受験か高校受験か――答えが一つではない難しいテーマです。最後に、保護者の皆さんが冷静に判断するためのポイントをまとめます。

  1. お子さんの希望と性格を最優先に考える: 親の希望だけで突き進まず、お子さん自身がどの環境で伸びるかを見極めましょう。「あの子も受験するからうちも」という同調ではなく、本人の意思と適性を尊重することが大切です。

  2. 情報収集と学校訪問をしっかり行う: 岡山県内の中高一貫校・高校の説明会や学校公開には積極的に参加しましょう。進学実績や偏差値だけでなく、校風や在校生の表情、部活動の様子など肌で感じる情報も重要です。先輩ママ・パパの体験談も参考になりますが、噂に惑わされすぎないよう公式情報や複数の意見を照らし合わせて判断してください。

  3. 経済プランを立てておく: 私立中学に行く場合は6年間でどの程度の費用がかかるか試算し、高校・大学までの家計計画をシミュレーションしましょう。公立進学でも、高校受験や大学受験の塾代がかかる可能性を見込んでおきます。場合によっては「中学は公立で高校から私立難関校」や「中学私立→高校は地元公立に転校」というプランもあり得ます。それぞれ費用バランスが違うので検討しましょう。

  4. 最悪を想定してメンタルケアも考える: 中学受験は小学生にとって心身の負担が大きくなりがちです。不合格だった場合の受け皿(公立中への心構え)も含め、どんな結果でもお子さんを認めてあげる姿勢を持ちましょう。高校受験でも第一志望に届かない可能性はありますが、県内には朝日高校以外にも優れた高校が多数あります。どの進路になっても「ここでよかった」と思えるよう、親子で前向きに捉える雰囲気づくりが何より重要です。

模試の結果を現実的に受け止める

受験を考える際には、模試による客観的な学力の把握が欠かせません。志望校判定(A〜Eなど)は絶対ではありませんが、継続してE判定が出ていたり、偏差値が10以上離れている場合は、合格の可能性が非常に低いという現実を冷静に受け止める必要があります。

「努力すれば何とかなる」という気持ちは否定しませんが、それが本人の成長にどうつながるのか、現実的な準備期間はあるのかを含めて判断すべきです。特に公立中高一貫校は、倍率が高く、適性検査の形式に慣れていないと高い学力があっても落ちるケースがあります。「とりあえず受けてみよう」という軽い気持ちで挑戦するには、あまりにもリスクが高い試験だという認識が必要です。

不合格だったときの気持ちの整理と進路再構築

挑戦校に不合格だった場合に大切なのは、次にどう動くかを事前に話し合っておくことです。「仮に落ちても、本人の力が足りなかったのではなく、次の環境でまた努力を重ねれば良い」と親が冷静に伝えられるかどうかで、子どもの立ち直り方が変わります。

また、合格の可能性が著しく低いことが判明した段階では、「なぜその学校を受けたいのか?」を改めて問い直すことが必要です。子ども自身に明確な動機がなく、親の期待だけが先行しているようなら、受験そのものを再考すべきタイミングです。

最終的に合格できるかどうか以上に、「その挑戦が子どものためになるのか」を見極める目を持つことが、保護者にとって何より大切な役割といえるでしょう。

 

最後に――中学受験がゴールではなく、その先の6年間・12年間をどう充実させるかが本質です。岡山県の教育環境には多彩な選択肢があります。それぞれの良さを理解した上で、ぜひご家庭ごとのベストな道を選んでください。悩んだ末に出した答えであれば、お子さんにとってもきっと良い方向に働くことでしょう。健闘をお祈りしています。

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*1:参考資料・出典: 岡山白陵中学校・高等学校公式サイト、就実高等学校・中学校公式サイト、岡山大安寺中等教育学校公式発表・進学塾ブログ、進学塾サンライズ記事、文部科学省・ベネッセ教育調査ほか.